日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

どこまで増え続く防犯カメラ

 

学生たちは夏休みで、朝夕の電車の混み具合も幾分は緩和されているようだ。
動物の体の大きさと、行動範囲や生息密度には一定の関係があるという。
小さい動物ほど狭い場所でギュウギュウと暮らし、大きい動物ほど遠くまで移動する。

生物学者でシンガーソングライターでもある本川達雄さんの計算によると、満員電車の人口密度に合う体は、蚊(の大きさ程度)なのだそうだ。

歌う生物学者は都会への遠距離通勤の憂さで、<虫かごみたいな電車に揺られ ゾウのサイズの距離を行く・・♪>などの『東京は悲しいところ』という歌を作っている。
若者の地方から東京への流出が続けば、人口減が加速するとも懸念されている。

そして、都会の人口密度と比例するように、年々増え続けているのが防犯カメラである。

 

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2005年7月朝のラッシュ時に、ロンドン地下鉄3カ所と2階建てバスが同時に爆破された。地下鉄駅に設置されたカメラはテロを防ぐことはできなかったが、実行犯の特定に威力を発揮した、といわれている。

イギリスは世界最大の監視カメラ大国で、事件当時250万台だった設置数も、10年後には420台になっている。

日本では、2002年に警視庁が東京都新宿区の歌舞伎町に50台設置したのが増加の呼び水になり、各地で導入されるようになった。現在の設置数は? とネット検索してみたが、正式な統計がないようで、3年前に300万とはなっていたが、実数は把握できていない。

多発する犯罪で治安が悪化しても、周囲の動きには無関心で地域のきずなも薄れてしまった。警察は、<名乗り出る目撃者も少なく“カメラの目は捜査にかかせない”>のだという。防犯カメラの不必要な社会であってほしいが、有効な策がほかに見当たらないというのが現状なのだ。

 

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実際、防犯カメラの映像が決め手で、重要事件の犯人が逮捕されることは多くなっている。<現在の捜査は防犯カメラなしでは成り立たない>といわれるほど、重要な武器になっているとのことである。

今までは事件が起きると、被害者の交友関係やトラブルの有無などを調べていくが、それだけでは行き詰まってしまうことがあった。近年は、被害者と加害者の間に全く接点のない事件も増え続けている。

それが、事件現場近くの防犯カメラに映っていた不審な男の足取りを、カメラ映像で遡っていくことで、遠い他県に住む犯人にまでたどり着くことも可能になってきている。

また、駅や金融機関、スーパー、コンビニなど約1000台にもなる防犯カメラの映像を、警視庁が分析し次々と公開すると、市民から多くの情報が寄せられるようになった。
逮捕につながる通報は「映像と似た歩き方の男がインターネットカフェに入った」などのように、具体的なのである。

 

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警察は犯罪の抑止と捜査の両方の目的から、犯罪の発生が多い地域を選んで設置しているという。警察の街頭カメラ以外にも、駅や空港、オフィスビル、マンション、商店街などと、あらゆる場所に設置が広がっているのだ。大きな事件が発生すると、直後に設置が増える傾向があるという。

防犯という観点としては、カメラの設置数が増えるのはありがたいのであるが、我々のふだんの生活も、常に監視されているような不安も感じる。プライバシーの問題はどうなのであろうか。防犯カメラを設置するルールがないまま、数だけがどんどん増えている点はとても気になる。

防犯カメラ大国のイギリスでは、ロンドンに1日出かけると300回撮影されるといわれているらしい。それでも、カメラで撮影していることや、管理者表示はしっかりしているとのこと。

私自身、仕事で監視カメラを使っているが、日本ではそのような徹底したルールがあるとは訊いていない。おそらく、勝手に設置してそれぞれの都合に合わせた監視をしているのではないか。

 

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<防犯カメラ、携帯電話の交信記録、そしてDNA(デオキシリボ核酸)型鑑定>。
これらを称して、“現代捜査の三種の神器”なのだそうである。

ただ、どれだけ科学技術が進展しても、地道な聞き込みや証拠の裏付け作業の積み重ねが重要であることは、これからも変わらないはずだ。現実問題として、防犯カメラさえ付ければ犯罪がなくなり、犯人も捕まるというものではない。

捜査の現場で、常に記憶より記録が勝っているかというと、そうではないようだ。
“似顔絵捜査官”は、被害者や目撃者の話を聞きながら、犯人の似顔絵を描く。
訊いた特徴を強調して分かりやすく示すことができ、公開すると有力な情報が集まりやすい。

“見当たり捜査員”は、記憶力と解析能力に優れ、頭の中に数百人分の指名手配犯の顔と名前を焼き付け街へ出る。そして、すれ違う一瞬に手配犯を見つけ出す。

科学技術を過信せず、人の力も最大限生かす。どの職種についても、この点が大きな課題になるはずだ。