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日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

ハマのメリーさんをご存知か

歴史

 

最近行きつけのスナックで盛り上がっていた時、メリークリスマスからの連想でメリーさんの話になった。4人での話だが、全員がメリーさんを目撃していることを知っておどろいた。

ハマ(横浜)のメリーさん。
私は横浜育ちだが、あとの3人は東京や別の市の出身だ。それなのに目撃をして、私より詳しいのである。

白塗りのお顔と真っ白なドレス。横浜のいろんな所でお見かけした。何度見ても怖くてドキドキした。遠くから徐々に近寄ってくるというのではなく、スーッと横から現れてくる感じなのでよけいにビックリする。

 

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子どもの頃に観たアメリカのテレビ番組で、『世にも不思議な物語』と『ミステリーゾーン』がある。訳ありのピエロが出て、不気味でこわ~い雰囲気を醸し出す。ピエロの白塗りの裏に潜む素顔が怖く感じて、今でもトラウマになっている。
だから、<ダメよ~ダメダメ>の彼女やゴールデンボンバーの樽美酒さんをテレビで見ても一瞬固まる。

メリーさんと会う機会もなくなり、後々に訊く話は、メリーさんに対して好意的なものばかりである。インターネットで知り会い、長年お世話になっている年輩の方は、メリーさんがすごい美人できっぷの良い女性だったと絶賛していた。

上記のスナックのママは、娼婦時代のメリーさんが、<生活に困っていそうなお客さんからお金を受け取らなかった>ということを知っていた。そういえば、このママも我々の飲食代を、いつもまけてくれる。生活に困っているのを見抜かれているのだろうか。

 

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横浜駅の西口、その前の高島屋桜木町伊勢佐木町などで、何度かメリーさんをお見かけしている。白い帽子、真っ白な化粧で、純白のドレスをまとい、白い靴を履いていた老女。先輩の話では、メリーさんと縁が深いのは黄金町だとも訊いた。横浜駅付近以外は、どこも歩いて移動できるところばかりである。

ちなみに黄金町といえば、黒澤監督の映画『天国と地獄』で重要なポイントのロケ地である。あの時代にも、メリーさんはそこにいたのだろうか。黄金町には昔ながらの独特な風情がある。

 

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メリーさんは、大正10年生まれらしいので、当時もかなりのお歳だったはず。それでも、お元気であちらこちらに出没されていた。今まで、それぞれの時代の友人と話していても、メリーさんの目撃談はとても多い。奇抜な格好なので目立つということもあるが、かなり行動的な方であったのだろう。ハマの名物で超有名人だったのかもしれない。

メリーさんは、地下鉄の駅のベンチで紙袋に入ったポケット瓶を飲んだり、高島屋の下着売り場で眺めていた。また、楽器売り場でエレクトーンを弾くこともあったらしい。

私たちより若い世代の作家が、著書や映画でメリーさんのことを描いておられる。
実際にメリーさんと会いお話された方は、<決して施しは受けず、「礼節を重んじるきちんとした人」だった>と語っておられる。
取材も綿密なので、私も観たり読んだりしたくなっている。よく利用する宅配レンタルDVDで、運良くその作品を見つけた。明日届く予定である。とても楽しみだ。

 

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女優の五大路子さんは、原因不明の足の痛みで落ち込んでいた時、横浜でメリーさんに出会った。そして、目が合いなにかを感じた。彼女の射すような瞳の奥に凛としたものがあった。「これは何なんだろう」と。そして、メリーさんを追いかけ、取材をかさねた。

メリーさんは戦後の混乱期、体を売って生き抜いてきた女性で、戦争の悲劇を身をもって体験していた。執念が実り5年後に、メリーさんをモデルにした一人芝居『横浜ローザ』が誕生した。その舞台がきっかけで横浜夢座という演劇集団がうまれた。

そして、このお芝居で横浜文化奨励賞を受賞。他に第29回松尾芸能賞演劇優秀賞、
第46回長谷川伸賞、横浜文化賞等を受賞したのだ。
『横浜ローザ』はメリーさんの自叙伝ではない。メリーさんを題材にしながら創り上げたオリジナル作品で、80歳を超えた外国人専門の娼婦の話だ。
でも、メリーさんとの出会いがなければ、このお芝居とは巡りあえなかったはずである。

 

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