日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

名優の質素な人柄は脚本外で

 

多くの言葉を費やすニュース記事よりも、新聞に投稿された時事川柳で、はるかに的を射た説得力を感じることがある。

"総でなく実態5割チョイ選挙"  (東京 後藤克好さん)
"生活の党は麻雀やっとでき"      (船橋 濃紫菫咲さん)

今月の衆院選の結果、生活の党の所属議員は衆院2人、参院2人の計4人となり、国会議員5人以上の政党要件を失った。
政党交付金の基準日は1月1日のため、年内にあと1人議員を確保できなければ、2015年分の政党交付金は受けとれないそうだ。議員5人そろえば、政党交付金は年1億円以上とされる。

 

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逆に景気がいいのは日本共産党。躍進したことで職員を急募。秘書や国会で働く事務員ら計50人を募集とのことらしい。
衆院議席数が8から21に増えたことで、スタッフが足りなくなった。
そして、同党は資金面でもプラスとのこと。今回納めた供託金10億7100万円のうち、約8億円が戻ってくる。

供託金は選挙区で、有効投票総数の10分の1など一定数に達しなかった場合、没収される。2012年の衆院選では、10億7100万円のうち2億6400万円しか戻ってこなかった。

 

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"「慢心をするな」が無理なほどの数"  (川崎 麻生不二夫さん)

<おごれる自民党が、気を引きしめるには多すぎる数>と解釈してよろしいであろうか。

小渕優子・前経済産業相の政治団体をめぐる収支報告の不透明。この選挙でうやむやなままなのが気になっていたが、<東京地検特捜部が10月に関係先を家宅捜索する以前に、パソコンのデータを保存する複数のハードディスクがドリルで破壊されていた>というニュースが流れた。ハードディスクはすでに使えない状態だった。

「捜査に全面協力をします」とコメントしている頃に、破壊工作が行われていたようだ。こんなにわかりやすい証拠隠滅の方法は、三文小説(死語?)のネタにもならないであろう。

小渕氏は今月14日の衆院選にて、2位と大差のトップで6回目の当選を果たした。
投票者へ、「一から出直す」ことを切実に訴え続けた結果であろうが、証拠隠滅を果たした後での"第一歩"を誓っていたのかもしれない。

 

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俳優・佐藤蛾次郎さん("寅さんシリーズ"でお馴染み)の『あの人の話』というエッセイ集がある。

寺男・源吉「どうしてハイヤーに乗らないの? 松竹が手配するでしょうに」
御前様(ごぜんさま)「僕は車が嫌いなんです。電車が好きなんです」

男はつらいよ』の"脚本外"の一幕として描かれている。
源吉は佐藤蛾次郎さん、柴又帝釈天の御前様(住職)は笠智衆(りゅう ちしゅう)さん。
日本を代表する名優と言われた笠智衆さんは、いつの撮影の後も柴又から大船(神奈川県鎌倉市)まで電車を乗り継ぎ帰宅した。

名優の質素な人柄が思い浮かべさせられる。
片道1時間半の車中は座れるとは限らない。お年寄りにはきつくて当然だが、車は「ぜいたく」、電車は「質素倹約」にと、上述のセリフを置き換えれば、笠さんの人柄がよくわかる。

 

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「企業の経営努力が足りない」、「子どもを産まないのが悪い」。
ふんぞり返るようにして、副総理兼財務大臣・麻生氏がのたもうた。
この方より、批判対象にされている方々の方が、「質素倹約」で生きようと頑張っているに決まっている。

こういう議員も、国民の税で養わなければならないのかと思うと、涙も枯れ果てる。
その鈍感な背中は「倹約が嫌い」と見られても、しかたがないであろう。
個人も、組織も、慣習というものが「柄」を映すのかもしれない。
笠さんのつましさは蛾次郎さんいわく「昔の人だから」だそうである。

かたや議員の“ぞんざいさ”も「昔から」である。