日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

有耶無耶(うやむや)と曖昧模糊(あいまいもこ)が手を組めばツケがこちらに回ってくる

 

昨秋に大阪の某ホテルに宿泊した。そこは食材偽装が発覚して、大騒ぎになった渦中のホテルであった。ちょうど事件の一ヶ月後であろうか。そのときは何事もなく、平静に通常の営業が行われていた。今は、食材偽装のことなど遠い昔のように忘れ去られているが、わずか一ヶ月後にも、すでに遠い過去のできごとのようであった。

ホテル内のレストラン、デパートのレストラン、単独のレストラン、飲食店チェーンなど全国各地で問題が発覚し社会問題化したが、(各社の)自己申告の謝罪のみで、すべてが丸くおさまっているようである。「メニュー表記は法の対象外」とか「明確な基準なし」などと耳にするが、人の生命にも関わる食材がこれほどまでにも軽く扱われているとは知らなかった。

条件さえ満たせば、詐欺として刑事告発できるらしいが、「2万円払ったにもかかわらず、実際のコストが千円~2千円だった」との場合や、被害者の会が結成されて詐欺の因果関係がはっきりすれば、などとのことらしい。どうりで、(会社側が)先に謝った方が早そうだ。

 

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高級食材ということと、騙された人たちが(騙されたことに)気付かなかった。高い料理を食する人たちが味をわかっていないのだ。そういう感情で、庶民の側からみると、偽装に対して加害者側へ友好的になり、怒りを感じないのかもしれない。しかし、本当に怖いのは食の安全の意識の低さが露呈されたことである。

食品・食材の偽装は価格競争が原因だといってもいいだろう。「安くて、おいしくて、長持ちする物」を切磋琢磨して売り込む競争をしている各食品メーカーたちが、この事件を目の当たりにしてどう思うだろうか。あれだけ堂々と行(おこな)って、謝るだけで済むんだ、と思われることが怖いのである。そして、この事件でハードルが下がった分、安易に添加物の大量使用へと発展されたらたまらない。

添加物の入り込む余地の大きい食品といえば、やはり加工食品であろう。食材の偽装問題が大きければ、加工食品部門は大きな顔をして売れる。廃棄寸前の野菜がシャキッとしておいしい漬物になったり、廃棄寸前の肉がいい色でおいしくなる。こういうことはお手の物であろう。

 

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添加物を口にしても、すぐにお腹が痛くなったり吐いたりしない。かえって、値段の割においしいのでは、との満足感があったりする。

2005年に出版された『食品の裏側(みんな大好きな食品添加物)』という本が話題になった。作者の安部 司さんは添加物のセールスマンをされていて、業界の裏を暴露されるような描写もある。そのため、賛否両論はあるようであるが、読んでみてそれまで漠然としか知らなかった添加物の実態におどろいた。添加物がなければ身のまわりの食品が成り立たないのでは、と思うほどに浸透している。

添加物はなぜなくならないのか。それは、リスク(危険)よりベネフィット(利益)が大きいから。添加物のマウス実験は親から3世代までの実験で、人体では3世代というと100年になる。添加物が生まれて100年もたっていない。つまり、我々が初めて添加物と対峙する人類である。業界用語で添加物のことを薬というらしい。言いかえれば、我々が人類で初めて添加物を服用しているのであろう。

添加物の利点は、「安い」、「簡単」、「便利」、「美しい」、「おいしい」などで、常に消費者の購買動機のトップ5にランクインされるとか。『安全』『安心』などはランク8位くらいらしい。

ネット検索で知ったのだが、日本食品添加物協会というところがあって、サイトのトップには「食品になくてはならない添加物。見つめ直そうその良さを」と書かれてあった。ここでは、とにかく添加物は安全で、食べてもらうことを推奨しているようだ。

 

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自覚症状がないかも知れぬが、添加物を大量に摂取していると、活性酸素が誘発される。

活性酸素とは、空気中から取り入れている酸素が体の中で変質し攻撃的になったもの。体内に取り込まれた酸素の2%である。本来は、体の外から侵入したウィルスや病原菌を退治してくれる、体に欠かせないものなのであるが、増えすぎると老化や生活習慣病の原因になると言われている。生きていくために必要不可欠な「酸素」が、ほんのちょっとだけ変化した物質であるが恐ろしい存在として知られる。

長い間、車を運転していると、あぶない場面に遭遇することがある。急に猫が飛び出して急ブレーキをかける。間一髪、猫は無事であったが、自分の体は心臓がドキドキしたり、膝がガクガクする。体がパニック状態に陥っているのである。そのようなパニックを感知して体を立て直すのが活性酸素なのである。ただ、現代ではそれが過剰であり過敏すぎて、活性酸素は、パニック状態と勝手に感知して大量に発生してしまう。

昔にはなかった現代のあらゆるモノが活性酸素を刺激する。ストレス、携帯電話、飲酒・喫煙、パソコン・テレビ、睡眠不足、医薬品、電磁波、電子レンジ、コンビニ弁当、インスタント食品、食品添加物・・・。まだまだ、挙げればきりがない。

 

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金属は錆び、食品は腐る。人間だと老化・病気ということになる。老化・病気とは、体に本来備わっている働きが異常になっている状態。大量に発生された活性酸素は、人間の60兆の細胞をどんどん錆びさせていく。

そしてそれが、体の老化や病気につながっていくのである。私は、添加物のことを考えると、放射線に似ているように感じてならない。食べたり浴びたりしても、すぐに体の変化があるわけではない。だから、なにも気にしないでいたら、知らず知らずのうちに活性酸素がじわじわと細胞を破壊している。

あれこれ言っても、コンビニやスーパーの加工食品も食べたりしている。お酒もよく飲んでいるし。こころの片隅で、活性酸素があまり出てこないように、と考える程度である。

まちがいなく言えることは、「自分の身は自分で守る」しかないということである。