日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

たかが電波 されど電波

 

久しぶりに湘南平(しょうなんだいら)へ行ってきた。この日は雲が多くて、富士山は見えなかったが、海や市街地がとてもきれいに見えた。

それはよかったのであるが、レストハウスとテレビ塔に怪しげな者たちが約十名。ヘンな機械を並べて電波の受信や送信をしている。私の姿を見て、一瞬ギクッとした様子。訳ありの宗教団体か、はたまた危ないオタク集団か。とにかく、危なそうな連中だ。

 

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レストハウスの展望台に登り写真を撮りながら、それとなく彼らの受信内容を聴いていると、なにかのシミュレーションみたいであった。よく聴くと、どうやらマラソンの中継らしい。それにしてもなぜ? 今どこかでレースでもやっているのだろうか。

そして、ピンとくるものがあった。箱根駅伝である。よく見ると、ヘリコプターも飛んでいる。そのうち、駐車場に日本テレビの大きなワゴン車が入ってきた。

 

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湘南平は、神奈川県の平塚市と大磯町の境にある標高181mの丘陵で、高麗山(こまやま)と泡垂山(あわたらやま)の山頂一帯を指す。地元ではかつて千畳敷と呼ばれていたが、公園として整備するにあたり湘南平と呼ばれるようになった。そしてここは、平塚テレビジョン中継放送所なのである。箱根駅伝のテレビ中継にとって、位置的に重要なポジションであることにまちがいはない。怪しげに感じた集団は、日本テレビの技術者の方たちで、年明けの2日から3日に行われる箱根駅伝の、(中継放送の)リハーサルをされていたようである。

 

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マラソン中継に興味を感じて、インターネットで調べてみた。やはり歴史的なのは、世界最初の「テレビオリンピック」といわれた1964年(昭和39年)10月の東京五輪である。NHKはじめ日本の放送関係者が総力をあげて、そのテレビ放送の実現に努力した。撮像管の開発から衛星中継までの一連の機器を国産で開発し、東京五輪を静止衛星シンコム3号の利用で世界に初めて生中継したとのこと。その苦労の陰には数々のエピソードがありそうだ。

  • 静止衛星 (シンコム3号)は帯域幅が狭いために、衛星伝送されたのは映像信号のみで、  音声は海底ケーブルで送られた。
  • 東京五輪当時は、送信アンテナが自動的に基地局に向くヘリコプター用テレビ中継装置を用いて、(ヘリコプター経由で)マラソンの全コース中継を可能にした。現在は移動する中継車からも安定した映像が送り届けられるようになっているそうだ。

 

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箱根駅伝の正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」とのこと。コースは、東京都千代田区大手町・読売新聞東京本社ビル前から、鶴見、戸塚、平塚、小田原の各中継所を経て神奈川県足柄下郡箱根町芦ノ湖までの往復で、往路108km、復路109.9km、計217.9km。このすべてのコースは、私も仕事や遊びでよく走破している。もちろん車で、であるが。

 日本テレビによる箱根駅伝の生中継に関して。2013年時点では、中継ポイント50ヶ所、テレビカメラ81台、移動中継車2台、オートバイ中継車4台、固定中継車12台、ヘリコプター3機、実況アナウンサーとサブアナウンサー20名、スタッフ総勢1000名という日本のテレビ局におけるスポーツ中継としては最大規模の体制で行っている。

これほどまでに大仕事だとは知らなかった。私は、箱根駅伝を観ることはほとんどなかったのであるが、湘南平でリハーサルを見た縁で、中継放送目線でこの正月には視聴してみたくなってきた。