日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

読み返してみると

最近、さぼり気味であるが、気が向くと電子書籍を読むようにしている。青空文庫の蔵書?だけでも、一生かけても読み切れないだろう。どちらかというと、数十年前に読んだものや、当時読み損ねたものをよく読んでいる。

 

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私の好きな戦後の無頼派たち。太宰治さん、坂口安吾さん、織田作之助さんの作品も好きなだけ読める。太宰さんの『眉山』はとくに大好きで、いつでも何度も読めるようにと、iPadとNexus7にしっかりと収めている。

 

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太宰さんといえば、数ヶ月前に読み返した作品で『佐渡』がある。昔読んでいい印象があったのであるが、今読むとなにかが物足りない。それこそ、前述の『眉山』などは何度読んでも昔以上に感激してしまうのであるが。もっとも『眉山』は飲み屋さんが舞台で、私は数十年の間にさんざん飲み歩いて、居酒屋体験たっぷりの状態で読むからなのであろう。

 

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佐渡』という作品は、新潟から佐渡へ向かう船の中の描写が、いかにも太宰さんの語り口調で、その先どうなるのだろうと期待させられる。しかし、佐渡に降りてからは旅館に泊まって、外へ飲みに行った料理屋さんが物足りなかった、ということで最後までテンションが上がらないままで終わってしまう。

 

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太宰さんの作品で、「富士には、月見草がよく似合う」の『富嶽百景』や、昔の子守りだった”たけ”と数十年ぶりで再会する感動の名作『津軽』がある。私はいまだに。富士を見ると月見草を思い浮かべ、『津軽』でふたりが再会した(”たけ”の孫の)運動会の校庭を思い浮かべている。

 

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昨年のちょうど今頃、佐渡に行った。太宰さんの小説では終わりにインパクトを感じなかったが、私には一年たっても忘れられないことがある。ツアーポイントの目玉で、その行程の中で(拉致被害の曽我ひとみさんのご主人)ジェンキンスさんと次女の娘さんに会える、ということだった。娘さんはとても元気に酒蔵の商品の販売をしていたが、ジェンキンスさんはお煎餅屋さんの売り子をしながら、観光客と写真を撮ったりしていた。その寂しそうな表情と沈んだような目が今も忘れられない。