日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

マイ有線

わが愛用のiPodの中身は、現在1805曲になっている。
あんなに小さい本体にそれほどの楽曲が入っているなんて、いまだに信じられない。
小さいといえば、たまに家の中で見つからなくて大騒ぎをすることがある。
イヤホンの方は見失うことがないのに、本体がテーブルの下に転げ落ちていたりすると、(小さいだけに)見つかるまでがやっかいなのである。

それにしても、カセットテープの(イヤホンステレオの)頃から愛用してきた身には、(毎日使っていても)iPodが魔法の産物のように思えてならない。
当時は、お気に入りの録音カセットテープを何本もかばんに押し込んで、遠距離通勤の満員電車で必死に音楽を楽しんでいたものだ。電池の持ちもiPodよりはるかに悪く、予備のガム電池も用意していたと思う。それでも移動時間に音楽を楽しめる幸福感があった。

あの時のイヤホンステレオとiPodでは、同じ使用目的の機器ではあるのに、ハードに潜むメッセージがまったく異なるような気がしてならない。

あくまでも私の使い方を土台としてであるが、カセットテープのときはCDのアルバム1枚をカセットテープ1本ずつに録音して、アルバムごとに聴くという選択肢しかなかった。iPodではどうかというと、アルバム単位で入力をしていても、アルバムとして聴くのは(入力した直後の)1〜2回だけなのである。例外として、ものすごくお気に入りのアルバムのときだけは、同じものを何度も繰り返し聴く。ただし、そういう機会は今までに(枚数比で)わずか2〜3%にすぎなかった。

ふだんはその日の気分によって、Classical、Jazz、Rock、Pop、Folk、などのジャンル分けにして、iPodの「シャッフル」機能を駆使してランダム再生の演奏を楽しんでいる。
どのジャンルにも(曲数の)厚みが出てくると、楽しみがどんどん増してくる。

余談であるが、アナログレコードやCDでは、アルバムごとに聴くということがあたりまえであった。しかし、どんなにお気に入りのアーティストでも(アルバムの中の)すべての作品がお気に入りになるかといえばそうでもない。また、曲順についても不満が出たりもする。そうなると自分でコピーをして再編集するしかないのであるが、その手間を考えるとなかなかする気にはなれない。いっそのこと、自然にお気に入りの楽曲がBGMとして流れ続けてくれないものか、とよく思っていた。

そのヒントとして、喫茶店や洒落た居酒屋から流れる有線があった。
知っている曲も知らない曲も、いい作品がどんどん流れてきて心地がいい。
自分だけのマイ有線のようなものがあればいいのに、と夢のようなことをよく想っていた。

それが今、あんなに小さなiPodという機器によって、いともたやすく実現化されてしまったのである。入力したどのアルバムも、自分で選んだものばかりなので「嫌いではない」楽曲が満載である。また、それぞれのアルバムの中でも印象の薄かった曲たちが、ランダムで聴くことにより新鮮で「良さ」の再発見までできてしまう。

ふだんはジャンル分けで十分楽しめているが、時間や気持ちにたっぷりの余裕があるときは、全曲のランダム再生がこれまたたまらない。自分の好きな曲ばかりが駆け巡る、マイ有線の世界に没入できるからだ。