日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

映画・テレビ・ラジオ

当たる素材を嗅ぎ分ける嗅覚

1943年に『姿三四郎』でデビューした黒澤明監督は33歳だった。当時、戦争で他の監督が出征していたという状況下である。 60年当時、映画界は名監督が多くいて、助監督を長く経験してから監督デビューするのが普通だった。やっと映画監督になれた時に…

存在を楽しく許すは あの映画

落語のいいところは、損得と関係なしに“その存在を楽しく許している”ということらしい。そこには、演者とお客さんで共感が持てる“笑い”が介在している。 ヒットシリーズ映画『男はつらいよ』には、「落語のエッセンスをふんだんに感じる」と称されることがよく…

一つの出来事を巡るエフェクト

<わけがわからん>。超ワンマンの永田雅一・大映社長は言い放った。黒澤明監督が撮った『羅生門』の試写を見たときのことだ。その作品は1951年のベネチア国際映画祭でグランプリを獲得。 戦争の傷が癒えぬ世の中も大いに沸いた。クロサワの名が世界にと…

気になる映画で思わぬ拾い物

小説や映画の作品を一度読んだり視聴すると、わかった気持ちになるが、見落としているところは多い。それも、けっこう大事な部分を・・・だ。 <やがて、自分が写真に撮っていたのは物ではなく光だったことに、彼は気づいた。被写体は単に光を反射する媒体に…

2パーセントを攻める伝統芸

先日、『大脱走』という映画がテレビ放映されたので録画をして観た。1963年に公開された(戦闘シーンのない)集団脱走を描いた戦争映画である。リアルタイムの映画館では観ていないが、レンタルビデオの時代に借りて観たのだと思う。 内容は観て知っている…

似ていても違う生存の仕組み

座禅は知っていたが、こちらは初耳であった。俳人・金子兜太(とうた)さんは80歳を過ぎてから立禅(りつぜん)を日課にするようになったという。亡くなった肉親の名、友人知己や恩師、先輩を次々に心の中で唱えるのだという。 それぞれの思い出も頭の中を断片…

スリリングだったラジオ放送

ニッポン放送の深夜番組『オールナイトニッポン』は、1967年10月の番組開始以来とラジオの長寿番組である。ニッポン放送をキー局とするラジオの深夜放送である。他局にも深夜放送はあったが私の住むところでは、ニッポン放送の感度が一番良かった。 “…

寅さんの指導方法「おひたし」

“ヒットの鍵は口コミ”との文言が飛び交う時代である。かつて“時代を映す鏡”と称された雑誌も今や売り上げ減だという。口コミという言葉の語意も時代とともに変化しているようだ。今ならLINEやツイッターなどSNSを使った情報の拡散なのであろう 虚業家…

ひょうひょうとしている説得力

女優・タレントが本業なのに、硬いテーマでもコメントはユニーク。TBS系『Nスタ』のホラン千秋さんである。昨年の半ばくらいから、平日の夕方にテレビを見る機会があれば、必ずチャンネルを合わせている。 天気担当の森田正光さんとのやり取りも楽しい。…

逆手に取ることもよさそうだ

“御用納(おさめ)”は25日。その祝いで、与力同心の知り合いも客として集まり、“歳忘れ”と称して延々と・・・。大みそかまで引き続き飲み明かす。江戸の町奉行所の年末年始だという。社会学者・園田英弘さんの著書『忘年会』によれば、天保年間の記録にある…

テレビは創造性を引き下げる

<好きなシェイクスピアの作品を10本挙げろ>。今のディレクターに言っても、出てこないでしょう。名脚本家・倉本聰さんの弁である。 昔のプロデューサーや演出家は、ドラマ・作品のことをよく勉強していた。そして、テレビの現状を倉本さんは心配する。 「…

想像のつく物語を求める心理

新垣結衣さん(ガッキー)と瑛太さんがW主演を務めた映画『ミックス。』(2017年)は興行収入が14.9億円になるヒット作だ。 恋に破れ退職して実家へ帰ったガッキーが元ボクサーの瑛太さんと出会い、反発しながら卓球でペア(ミックス)を組み、地元の卓球メ…

映画に対する言葉や想い入れ

<映画は芝居ではない。ドキュメンタリーである>と語ったのは高倉健さん。「演じる」と「生きる」のちがいについて語ったのはアラン・ドロンさんである。<修行を積んだコメディアンは役を演じる。経験なしからの俳優は役に生きる>。 ビートたけし(北野武)さん…

枷という名のおいしい隠し味

ロケット博士・糸川英夫さんはシステムを称して、米国の人気テレビドラマ『スパイ大作戦』のようなものと著書に書いた。スペシャリストチームが、数々の難関をクリアする物語だ。 昔から、少年たちのヒーローは完全無欠ではない。<いかなる困難、危険も越え…

「俺たちシリーズ」をご存知か

松田優作さんと中村雅俊さんは刑事ドラマ『俺たちの勲章』(1975年4月~1975年9月)で共演している。この作品は、出目昌信さん、降旗康男さん、斎藤光正さんらの錚々たる監督たちが各話を担当し、鎌田敏夫さんが脚本を書いた。 雅俊さんによれば、優…

薄幸系とラブコメの軍配は?

かつて、恋愛ドラマの“王道”といえば、薄幸系であった。不治の病にかかったヒロインとそれを支える恋人などの図式は、映画でもよく使われた。 『赤い疑惑』や『赤い運命』などの“赤シリーズ”は、1974~80年にかけて放送されたTBS系作品で、山口百恵…

やることはバンカラなNHK

下駄を鳴らして奴がくる 腰に手ぬぐいぶら下げて・・・♪ 43年前にかまやつひろしさんが歌ったヒット曲『我が良き友よ』である。作詞・作曲は吉田拓郎さん。歌詞の中にもあるが、往年のバンカラ学生を描いている。ただし、歌われた時代には、そういう学生を…

力が湧くのは悲しい歌らしい

新橋と横浜間に鉄道が開業したのは1872年(明治5年)だという。この時代、日本では二つの時刻制度が併存しており、鉄道は分単位で運行されたものの、人々はまだ、一時(いっとき)[2時間]とか半時(はんとき)という時間の数え方をしていた。 そこで一番短い…

夢を運ぶ箱が映す時代の変貌

“光害”という言葉がある。夜もまぶしい人工光が動植物のリズムを乱す。星空を見えなくしていることの弊害もある。求愛メッセージを送り合う蛍は、明るい人工光のもとで、繁殖がうまくいかなくなる。 日照時間の変化を目安に花を咲かす植物も、成長のタイミン…

懐かしくふしぎなこころ貯蓄

先日、織田作之助さんと自由軒の名物カレーのことを書いたら、ひょんなことでそのカレーを食べた。大阪に住む、うちの奥さんの友達が、自由軒のレトルトカレーをおみやげに下さったのだ。 レトルトといってもお湯で温めるものではなく、スープ状のカレーをマ…

心温まる料理に街並み懐かし

北から南に向かって吹く風を“北風”と呼び、南から北へ流れる潮のことを“北流”というらしい。方向を示す言葉はややこしい。 松任谷由実さんの名曲のひとつに『冷たい雨』という曲がある。“冷たい雨”は、公式の気象用語なのだという。 熱帯で気温の高い地域で…

選ばれても出られない映画祭

<ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?>(なおまる御前さん)。第一生命恒例の「サラリーマン川柳コンクール」にて、昨年1位に輝いた作品である。 今年で31回目となるこのコンテストで大賞を獲得したのは、<スポーツジム 車で行って チャリをこ…

喫煙シーンにはイカした音楽

昔の映画は喫煙のシーンが多かった。邦画では、石原裕次郎さんの“くわえ煙草”がカッコいいと、当時の若者にウケたという。年代差はあるが、女性でカッコよく吸うとの評判は、桃井かおりさんだったろうか。 1966年制作のフランス映画『男と女』で、主人公…

食事の場面でわかる名優の味

断崖絶壁で追い込まれ、犯行を自供する犯人。前場面はアリバイ崩しだ。怪しいと思える人物は殺される。2時間サスペンス(ドラマ)の鉄板である。それも今、崖っぷちに立たされ消えゆく番組が多い。 通称“土ワイ"の『土曜ワイド劇場』(テレビ朝日系)は昨年4月…

仙人のように飄々とした監督

昨年2月に93歳で亡くなられた鈴木清順さんは映画監督であり、俳優としても映画やテレビドラマで多くの作品に出演している。元NHKアナウンサー・鈴木健二さんの兄でもある。 日活時代の監督作品は40本で、デビューから数年間は赤木圭一郎さんや小林旭…

映画・ドラマ創りの今昔物語

<映画は芝居ではない。ドキュメンタリーである>。高倉健さんの言葉である。こころを揺さぶられる映画は意外に淡々としている演出なのではないか。『フィールド・オブ・ドリームス』や『マディソン郡の橋』等はそのような印象である。 監督としても多くの名作を…

映画向きな情緒的時間帯とは

“深夜”のイメージは人それぞれでちがうだろう。飲み歩いていた頃は終電を意識する午後11時から午前0時過ぎくらいが深夜だった。今はもっと遅い時間になっている。 深夜に日付や曜日がからむと、その日が始まる午前0時から夜明け近くまでか、当日の夜遅く…

年末年始は「Y&G」に釘付け

この年末年始を振り返るとテレビ放送番組の視聴件数はかなり減っている。やはりネット配信の影響なのだろう。ただ、予想外にハマッた番組が2件ある。 バラエティ特番で、X JAPANのYOSHIKIさんの出演番組がいくつかあったが、どれも楽しかった…

脇役の輝きから磨かれる主役

音楽と映画・ドラマは同じ時間芸術。だが、受ける感覚はちがう。好きな楽曲なら繰り返し聴くが、映画・ドラマはほとんど一度きり。観返したとしても、音楽よりはるかに少ない。 音楽作品は映画・ドラマより短時間であるが、受け手の脳は異質なメディアと捉え…

やすらぎ、オレンジデイズな郷

テレビドラマがヒットといわれる基準は、視聴率10%を超えるかどうか、にまで下がっている。脚本家・倉本聰さんによると、駄目になったのはトレンディードラマからだと。 地べた目線でドラマの脚本を書くのが信念である倉本さん。「(作り手たちが)自分の生…