日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

創作・作家

からだの記憶力と詩のこころ

箏曲家の宮城道雄さんは、今年で没後60年になる。大阪の公演へ向かう夜行急行列車『銀河』から、列車の外に転落した。救助時点で意識はあったが、惜しくも搬送先の病院で亡くなられた。 8歳のころに失明した宮城さんは、光を断たれ指先の感覚が研ぎ澄まさ…

魯山人がお宝とは知らぬが仏

フランスの画家・ポール・ゴーギャンはタヒチ島の人々から“人間を作る人間”と呼ばれたという。絵筆で人間を作り出す風変わりな人物を見た(画家という職業を知らない)地元民の目には、そのように映ったようだ。 その人が残した作品もまた、奇異な放浪をしたよ…

聞くのも記すのもコツと経験

自分がなにかを書くようになると、自然と人の話に耳を傾けるようになっている。それはネタ探しでもあるが、読むこととはちがう情報への興味が増しているからだ。ネット時代で情報源は多彩になり、何を流行と感じるかも人それぞれであるが、人から聞くことが…

ノーベル選考の日本作家たち

ノーベル賞の選考は秘密裏に行われ、その過程は受賞の50年後に公表されるそうだ。 鎌倉の川端康成邸を訪ねた三島由紀夫さんは、茶の間のテレビでロカビリーの番組を一緒に観た。1958年(昭和33年)3月のことである。 ロカビリーという激しいリズムの…

この時期 想うは寺山修司さん

本年もよろしくお願い申し上げます。いつも読んでいただき、ありがとうございます。そして、皆様のすばらしい記事をたくさん読ませていただけることに感謝しております。 明けて新春。366日、8784時間のまっさらな1年はすでに始まっている。明治の文…

人目につかぬが宝かもしれず

かつて、ナチス・ドイツはユダヤ人から美術品を略奪し、ドイツ精神に反するとみなした作品を“退廃芸術”と決めつけ押収した。若い頃、画家志望だったヒトラーは写実主義を好み、抽象絵画を嫌悪したそうだ。 ドイツ南部のミュンヘンで(ナチスが略奪した)大量の…

面倒くさいにおける質の違い

<大事なことはたいてい面倒くさい>。これは宮﨑駿さんの名言である。 “創りながらテーマを見つける”、“台本がない”、“少しずつ創っていく”などと、独特な創作法も訊いていておもしろい。 そして、創作中は頻繁に出てくる言葉が「面倒くさい」なのである。テ…

小津さん伊兵衛さんへの憧憬

“ロー・ポジション(ロー・ポジ)”は“ロー・アングル”とはちがい、カメラの仰角を上げる(アオル)のではなく、カメラの位置を下げることである。 ロー・ポジ映画の名手といえば、小津安二郎さんがすぐに思い浮かぶ。静かで観やすい作品が多く、細かい演出を随所…

江戸川乱歩さんに親近感あり

今から210年前のヨーロッパ大陸は、ナポレオン1世の時代だったという。フランス皇帝となった翌年1805年に、東へ向けて進撃を始めた軍は、1812年にはモスクワまで攻め入る。しかし、その後は転落の道をたどることになる。 ナポレオンの死因につい…

読みたいモノを書くのが理想

ブログというひとつの形式にこだわらず、いろいろな記事全般を“エントリ”と称してみると、定義など気にせず<読みたいモノを書くということ>へのこだわりが出てくる。 みんなが知らない情報の断片を集めることができればおもしろいが、なかなかそうはいか…

ずっと読みたい松本清張さん

推理小説を読むスタートは江戸川乱歩さんである。夢中で読み漁った。すでに他界されていたので、作品には限りがあった。何作も読み進むうち、作品が尽きてしまうことが心配になった。古本屋や図書館にも通い、乱歩さんの世界を長く楽しみたかった。しかし、…

引き算より足し算の宇宙缶詰

清酒大手の月桂冠の商品に、ノンアルコール日本酒の『月桂冠フリー』がある。その開発には中断期間を含めて約12年を要したそうだ。 当初、麹(こうじ)と酒かすを原料に使った上で、アルコール分を抜く「引き算」をしたが、甘酒に近い味にしかならない。そこで…

情報はリサイクルで活性利用

<リデュース(Reduce)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)>は3Rといわれている。日本では2000年に「循環型社会形成推進基本法」から、その考え方が導入されたそうだ。3Rとは“不要になったモノ”に関する言葉である。 モノを情報…

秋元流作詞法とは犬のう◯ち

2年前に、テレビ放映された『熱血授業!秋元康氏と女性社長300人』という番組が今でも私の頭の中に残っている。内容がおもしろかったからなのであろう。その講演会は前年11月に行われ、女性起業家たちを前に熱く語る秋元さんが印象的であった。 『秋元…

lifeのなかにifがある

スマートフォンに続く次世代端末はウエアラブル(wearable)だと訊いたことがある。ウエアは「着る」「身に着ける」という意味で、「衣服」や「衣類」も指す。 つまり、ウエアラブルとは「着用可能なコンピュータ」なのだそうだ。 スマートフォンは携帯電話とコン…

110年の「吾輩は猫である」

昨年から夏目漱石さんの電子書籍を読む機会が増えた。それまでは『坊っちゃん』だけしか読んでいなかった。かつて、石原慎太郎さんの小説『青春とはなんだ』は、<漱石さんの『坊っちゃん』を、昭和の舞台にリメイクしたもの>と訊き、その比較のためにと読…

件名の13文字秘話が面白い

数多くのヒット曲を持つ小椋佳さんは、自作曲のほとんどに自分でタイトルをつけていないと語っていた。レコード会社などの関係者の方たちが、(小椋さんの作品の)タイトルを決めるらしい。 小椋さんの『少しは私に愛をください』という作品には、昔から興味が…

文章を使わずに文書を作成する「ものぐさ術」を会得するには

小椋佳さんの作曲法はすごい。自分の詩を書き留めたノートを読みながら自然に曲ができてしまう。ただ、それだけ。楽器はまったく使わない。 ある日、吉田拓郎さんは、松本隆さんから“新作の歌詞”を受け取って、本人の前で手元のギターをとり、コードを弾きな…

箱書きという概念で文章が格段に楽しくなった

自分にとってよい文章の条件とは、わかりやすいこと。 何を言いたいのかがよくわかっていれば、難しい言葉をわざわざ使わなくとも、誰にでもわかる平易な文章が書けるはず。 そこに“楽しさ”が加われば、書くことが“楽(らく)”になる。 シナリオの文体は<映像が浮か…

ビリー・ワイルダー作品がおもしろすぎて目を離せない

数々の名作を残した映画監督で脚本家のビリー・ワイルダーは、晩年のアカデミー賞授賞式で50年以上も昔の一言に感謝した。 ナチスの迫害から逃れようと、欧州から米国へ移住する際、メキシコの米領事館でビザを申請した。送還されれば命を失う危険のため、不安な…

やはり人の記事をよく読んでいる人のブログはおもしろい

書くことと読むことではどちらがおもしろいか。私は書くよりも読む方が好きで楽しい。“書く”のは、気が向いたときだけであるが、人の記事を“読む”のは毎日欠かせない。 ブログを読み手として見てみると、<書き手の目線や視点>を強く感じられる記事が楽しい。…

若者たちが石原慎太郎さんに憧れた時代のあったことをご存知であろうか

今、81歳の石原慎太郎さんは、若い頃に爺さんキラーで、文豪などの年輩者にとてもかわいがられた。当時、若者の流行にまでなった太陽族の石原さんが、実は年上の方たちとのお付き合いがよくて、文壇の講演旅行、ゴルフ、文士劇にも積極的に参加していた。…

ためになる話よりおもしろい話がためになる

以前のエントリ『言うものは知らず 知るものは言わず』にも書いたが、“かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう”というフレーズが好きである。賢明に見せようとする人より、バカになれる人は魅力がある。 そういう方の体得した話はとてもおもしろい。そし…

時間を3倍に使いたければ3つの同時処理をするのが手っ取り早い

一挙両得や一石二鳥という言葉がある。1つの事をして2つの利益を得たり、1つの石で2羽の鳥を撃ち落とす、ということで、とても得をした気分になる。 昔「ながら族」という言葉が流行った。ながら族とはラジオや音楽を聴きながら勉強したり、TVを観なが…

星は何でも知っている~♪ はてなスターマークに馳せる想い

私に似つかわしくない乙女チックなタイトルになってしまったが、最近気になることがある。私が読者登録している方たちで、はてなスターマーク欄を閉じている方が増えているような気がするのである。 いつものように読ませていただいたあと、スターマークをク…

クォリティを意識した追っ付け仕事にあこがれる

「追っ付け仕事」という言葉を私はよく使う。仲間内の会話では、これで通じるのであるが、この言葉を検索してみたら「やっつけ仕事【遣っ付け仕事】」などとヒットされる。その意味は「間に合わせの粗雑な仕事」ということらしい。私の思う「追っ付け仕事」…

言葉の断片がブーメランのようにもどってくるとき

この頃は横着をして、文章の入力にボイスレコーダーを駆使している。 車に乗りながら、テレビを観ながら、お酒を飲みながら、などと、あらゆるところに持ち歩いて、言葉の断片が頭に浮かんだら録音している。そして、それを再生しながら、タブレットの音声入…

川端康成さんの『掌の小説』はブログ的な気がする

川端康成さんの『伊豆の踊子』、『雪国』、『古都』など、代表作といわれるものは一通り読んでいるが、印象に残っているのは『眠れる美女』くらいであろうか。川端作品のイメージとちがう一面を感じた作品であった。川端さんは、清く正しく美しい小説を書く…

マクルーハンから教わること

マーシャル・マクルーハン(1911年~1980年)はカナダの英文学者、文明批評家である。「メディア・イズ・メッセージ」というメディア中心にて独自の文明論で、世界的に有名になった。しかし、このエントリのために、インターネット検索をしてみたとこ…

わが鑑定眼にまちがいはなし

かつて、同じ職場の飲み友だちにUTさんがいた。私より5歳上の独身である。幼い頃、鎌倉に住んでいたということは聞いていた。あるとき、鎌倉の話をしていたら、UTさんは急に思い出したらしく、「そういえばうちの近所に『ろじん』がいてさ・・」と『ろ…