日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

人間

何でもある国にもないものが

文豪・夏目漱石さんは無類の甘党だったらしい。学生時代には、汁粉の食べ過ぎで盲腸炎になり、教員時代は答案の採点中にビスケットを食べて止まらなくなる。 作家になってからも、自宅にアイスクリーム製造機まで備えた。そして、絶えず胃痛を訴えつつ、甘い…

ジャンルを越えた芸達者たち

<芸が身を助けるほどの不仕合(ふしあ)わせ>との古句がある。芸に身を助けてもらわねばならぬ境遇には、つらいものがある。しかし、芸があるのは(無芸の者からみれば)うらやましい。 敗戦となり、いつ自動車の生産が再開できるか。従業員をどうやって食べさ…

「普通の割合」で得られること

おもしろい人と話したりおもしろい話を聞くと、人生で得した気分になれる。一対一が対談、3人だと鼎談(ていだん)。では4人以上は・・・となれば“座談会"らしい。 原始時代には、スペシャリストもいなかったし、個人主義など発生する余地もなかった。文字が発…

ヒマな時間と未来の時刻表は

古今東西、世の中にはすごい人がいる。 SF作家・星新一さんの父、(実業家の)一さんはアメリカで発明王エジソンに会った。大正時代である。野口英世博士の紹介という。 <利益よりも、私は人類のために新しい富、新しい道具、新しい産業を創造しようとして…

両刃の活性酸素はどう歩むか

腰は体の要(かなめ)という。数あるケガや不調の自覚症状の中で1位は腰痛らしい。腰痛と闘う人類の始まりは、四足歩行から二足歩行に移った時期であり、国境を越えた宿病のようである。 現代病の要因では、昔になかったものを探してみると納得する。自然食離…

面白いのは人間のエピソード

知らない人たちがそばにいると、人間の本能は彼らに対して“友好的か、それとも敵対的に”振る舞うべきかを決めるため、その人たちを調べにかかるという。 そのように、人が人を見出すのも人類の歴史であるようだ。 噺(はなし)家の仲間どうしでは「きんちゃん」…

老人年齢には認識の誤差あり

東京・国鉄蒲田駅の操車場で身元不明の他殺体が見つかった。殺害されたのは誰か。名作『砂の器』(松本清張さん)のオープニングシーンだ。 この作品は、1960年5月から1961年4月にかけて「読売新聞」夕刊の連載小説として人気を博した。昭和でいえば3…

人の振り見てわかる鏡の自分

避暑地といえども同じ暑さなのが近年の夏である。<軽井沢も暑いと聞いて満足す>(丸谷才一さん)。海や山にも遠い身なのでとりあえず、丸谷さんの一句を思い浮かべ湯上がりの冷酒やビールに満足する。 希少価値の高い食材も、無理して食べる必要はない。松茸…

無意識に支配される癖と動作

夜中も気温は下がらず、寝苦しい熱帯夜が続く。この時期はエアコンもフル回転だろう。電力不足や水不足も懸念される。人々の同時行動のエネルギーは凄まじい。 その昔、NHKの連続テレビ小説『おはなはん』(1966年)で朝の放送時間には主婦が水仕事をや…

大風呂敷を広げて見えるモノ

蚊のなかにも知恵の回るのがいる。新聞のコラム記事にあった。能の囃子方の取材から得た情報らしい。その知恵とは、鼓を持つ手ではなく、打つほうの手にとまる。それなら叩かれる心配がないからだ。 ドイツの思想家・ゲオルク・リヒテンベルクは著書『雑記帳…

だれにでもある残された時間

<最後の真夏日(30度以上)から気温が一桁になった間>が、秋の期間の断定基準だという。12月までに一週間を切った今、すでに冬を迎えた地域もあれば、まだ秋の所もあるようだ。 余白ならぬ“要白(ようはく)”という言葉の意味は、絵画やデザイン、写真の世…

今の一日よりずっと長い日は

誰もが、<幼きころの一日は今の一日よりずっと長かった>気がするのではないか。古き説では、心理的な時間の長さが、年齢に反比例して短くなるという。仮に10歳児は40歳の4倍、50歳の5倍・・・との具合で時の流れを長く感じるそうだ。 「人は、あて…

プロの手によるコラムが秀逸

“幼稚”の意味は「考え方・やり方などが未熟。技術・構造などが単純である」らしい。 “理性”だと「善悪・真偽などを正当に判断し、道徳や義務の意識を自分に与える能力」。昨今、幼稚性の勝る人が増えてきているような気がしてならない。 『優秀なセールスマン?…

心情に 人それぞれの個性あり

<読書をするとき(作者と)“心情”を分かち合う>と言ったのは、カズオ・イシグロさんだ。 米国の大富豪であるジョン・P・モルガンさんに語り継がれる逸話がある。 古い友人が金を借りに来たが、モルガンさんは断った。そして、「かわりに、君と一緒に道を渡っ…

「好き嫌い」の感情と体内時計

今年のノーベル医学生理学賞は、米国のジェフリー・ホールさん、マイケル・ロスバッシュさん、マイケル・ヤングさんの3氏に贈られる。業績は「概日リズムをつかさどる分子的な仕組みの解明」だ。 私はノーベル賞なるものに興味がなかった。しかし、今回のこの賞はと…

からだの仕組みは誰もが同じ

交際中の異性がいない日本の男性が7割で、女性は6割なのだという。 国立社会保障・人口問題研究所によると、1987年の調査以来で過去最高とのこと。調査は5年に1回の実施で、このデータは一昨年6月のものである。 全国の独身者約8700人から回答…

脳には脳の選ぶ道があるのか

“モノ”をインターネットでつなげるIoT(Internet of Things)。 アシストスーツを着て重い荷物を軽々と運ぶ人。農地では無人の耕作機械が動き、建設現場にドローンが飛び交う。そして、自動運転の車。 この先、人工知能の活用で“仕事や暮ら…

“為す人”達の好奇心と探究心

珍しいこと、未知のことなどに興味をもつ心が“好奇心”であるのなら、物事に深い知識を得たり原因を解明しよう、という気持ちのことを“探究心”という。 このふたつのこころは連係が深く、貫く人の意志は強い。 司馬遼太郎さんは中学1年の思い出を『随想集風…

名酒の名酒ぶりを知るために

わかりやすい体験談に感銘を受ける。 <暗い夜をくぐり抜けてきた人は、ともしびの明るさが胸にしみる>という。 1970年に「東京空襲を記録する会」を結成した、作家・早乙女勝元さんの体験だ。敗戦の夏に平和を実感したのは“灯火管制の解除”であり、「平和…

団塊しらけプレッシャーゆとり

“団塊世代”は、第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれ、日本の高度経済成長、バブル景気を経験。第一次ベビーブームの3年間の合計出生数は約806万人だという。 その後は“しらけ世代”と呼ばれ、日本の学生運動が下火に…

口に関する下世話事あれこれ

「口が減らぬ」は、口達者で理屈を並べて言い返したり、勝手なことを遠慮なくしゃべったりするさま。私は、同性よりも異性との会話でこのケースによくなる。お笑いの感覚なので、言い合ったあとはスッキリ感がある。「口ずさむ」ような会話が楽しめればいいと思…

悩ましき判断は先送りになる

昨年7月に亡くなられた永六輔さんは、草創期のテレビ人である。しかし、1966年にテレビのヒットバラエティ番組『夢であいましょう』が終了すると、活躍の場をラジオに求め、翌年の1967年には『誰かとどこかで』がスタートした。 <テレビに出れば有…

みじかびを楽しく働くサイズ

1969年に放送された万年筆のテレビCMがウケにウケた。<みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれすぎかきすらのはっぱふみふみ>。 用意された台本がつまらないから、即興で詠んだ歌だという。大橋巨泉さんである。短歌のあとにはひと言、「わかるネ」・…

相手の表情をうかがう作法?

1983年6月の公開だというから、もう34年も前の映画ということになる。森田芳光監督で主演は松田優作さん。『家族ゲーム』という映画である。 家族が心から向き合うことを避けて暮らしていることを表現するため、(一家が)細長い食卓で横一列になって食事…

他人事と自分事は入れ替わる

傘が活躍する時期になっている。しかし、雨の日はまだ少ない。 雨の予報で外出時に傘を持ち歩いても、使わないで済むことがある。そういうときは、なんだか損をした気分になる。電車の忘れ物ランキングでも、傘が1位をキープし続けているようだ。 暮らしの…

こうすればうまくいかない事

逆発想をできる人の話や記事がおもしろい。 糸井重里さんのウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』は、1日の総ページビューが約140万の有名サイトだという。手帳やタオル、カレーのスパイスなどのオリジナル商品を、幅広く扱い、(数十万部が売れている)『ほぼ…

話の始まりはエピソードから

読んだり聞いたり、書くのも、私はエピソードが好きだ。 エピソードの意味は、挿話(そうわ)。文章や物語の途中、演劇の幕間などに挟む短い話。などとあるが、心惹かれるものはこちらである。<ある人物や物事についての興味深い話>。 渡部建さんと児嶋一哉…

中途半端なき「褒め」と「叱り」

実力派の漫才コンビ「ナイツ」の塙宣之さんと土屋伸之さんは、2002年に漫才協会に入り、内海桂子師匠の一門になった。そして07年に「寄席にも出たい」と、落語芸術協会にも入った。 その際、お世話になった師匠は(「笑点」でおなじみの)落語家・三遊亭小遊三…

「手持ちぶさた」な人間の器

19世紀末に、“写真が動く”という(新発明の)見世物として始まったのは映画であり、その宣伝用の“貼り紙”としてスタートしたのが映画のポスターだ。 告知のポスターは映画史の幕開けから存在らしい。日本では初期に、各映画館が地元印刷所に作らせて、発注元…

“どんでん返し”の弟分たち

最近は減ったが、外での飲み歩きをさんざんしている。とはいえ、ひとりで飲むと間が持たないため、必ず相棒を見つけ連日引っぱりまわす形におさまるのだ。 歴代の相棒の顔を思い出すと、おバカな想い出までもよみがえる。その中で、かなり異色でおもしろい相…